自分で「始めた」女たち
ーカッコいい女性に共通する7つのことー
プロローグ
その昔、まだ鉛筆の持ち方もままならない頃。インタビュアーたちは私にマイクを向けてこう言った。
「将来の夢はなぁに?」
その度に頭を捻って、まほうつかいとかプリキュアとか答えていたけれど、社会人になるともう誰も私の将来に関心を示さなくなった。ちょっと寂しい。今聞かれるとしたら、なんと答えるだろう。お気に入りの服をビシッと着こなし、ヒールを鳴らしながらオフィスを駆け回りたい。おしゃれなカフェでBGMに揺られながら、PCのキーボードを叩きたい。憧れるのは「バリバリ働くカッコいい女性」。仕事に情熱を持って働き、仲間と共に苦労と成功を分かち合い、家族や恋人とも真剣に向き合う彼女たち。大変そうだけどすごく素敵だ。もし今、インタビュアーがマイクを向けてくれたら「カッコいい女(ひと)になりたい」と答えるだろう。
今日の読書録は「自分で『始めた』女たち」から学ぶ、「カッコいい女性に共通する7つのこと」。
本書では自分でビジネスを始めた女性たちにスポットライトが当てられている。私が憧れる、バリバリ働くカッコいい女性たちだ。職業も年齢もバラバラな彼女たちだが、大切にしていることや仕事に対する考え方には共通しているところがあると感じた。その共通点を知れば、私も素敵な女性になれるかもしれない。
カッコいい女性に共通する7つのこと
カッコいい女性の共通点とは何なのか。インタビューに答える彼女たちの言葉を一つひとつ拾い集めてみると、7つの点で共通しているところがあると分かった。
- 自分に誠実でいる
- 強い信念がある
- 常に動いている
- 誰かを頼ることができる
- 不安や恐怖を受け入れている
- 変化に寛容
- 自分と他人を比べない
①自分に誠実でいる
人生は選択の連続で、その度に色々なことを考える。自分の気持ちはこうだけど、周りが何というだろうか…。気は進まないけど、角が立たないように引き受けた方がいいかな…。人の気持ちを考えて配慮できるのは素晴らしい能力だ。しかしそのことに重心を置きすぎると、自分自身に嘘をつき続けることにつながるのではないだろうか。
自分に誠実でいるために、誰の声を聞くべきか。それは自分のことを一番理解し、支え、応援してあげられる自分自身の声だ。成功のために自分の声を無視して考えを捻じ曲げてしまえば、本当にやりたかったことや目指していた場所を見失ってしまう。そんなの本末転倒だ。カッコいい女性たちはそれを避けるために自分が「こっちがいい」と望んだ道を信頼し、尊重してあげることができるのだ。
- NOと断る勇気を持つ
- 自分だけの確固たる信念を持つ
②強い信念がある
カッコいい女性たちは必ず、自分だけの確固たる強い信念を持っていた。「信念」とは、仕事や生き方に対する「私はこうありたいという理想像」だ。信念を持つことのメリットは2つある。ひとつは道に迷っても大きくブレることがなく、すぐに軌道修正ができるということ。もうひとつは自分で選んだ道に自信を持てることだ。確かに、迷いまくりでブレブレな人より自分に自信がある人(或いは自信を持とうと努力している人)の方が一緒に仕事をしていても、友人としてそばにいても輝いている印象がある。「信念」は渾身のメイクやドレスアップをも凌駕する、女性として、そして人としての美しさを表す原石なのかもしれない。
- それは誰かの役に立っているか
- それは誰かを喜ばせるものか
- それは家族が幸せに思うものか
- それは私が楽しいと思えるものか
③常に動いている
たとえ準備ができていなくても、不安でも怖くても、それからスランプに陥っていても。彼女たちはとにかく「動く」ようにしていた。理想の世界を空想している時間は楽しい。苦労もせず失敗もせず、安全な場所で幸せな気分になれるのだから。それだけで満足できるならそれでいいのだが、私の目指すカッコいい女性は空想だけでは終わらせない。思い立ったならすぐに始める。チャンスが来てくれるのを待つのではなく、自分から飛び込む。問題には必ずぶつかるからその都度修正して、間違えながら覚えていく。理想に辿り着くには、たくさんの挑戦と失敗が必要なのだと、彼女たちは教えてくれた。
④誰かを頼ることができる
孤高の人間ってなんだかカッコよく見えるけれど、ビジネスの世界ではなかなか数奇な存在だ。なぜならビジネスは大勢の力があってこそ成り立つものであり、どんな天才でも一人で何でもかんでもできるわけではないから。カッコいい女性は決して孤高の存在というポジションにはいない。彼女たちは自分の不得意なことは誰かに任せるし、分からないことは遠慮なく聞くようにしている。そうすることで自分がやりたいこと・やるべきことに注力でき、一人では知り得なかったことを学ぶこともできるからだ。誰かを頼れるというのも、ひとつの能力なのかもしれない。
⑤不安や恐怖を受け入れている
カッコいい女性には怖いものなんてなくて、常に自信に満ち溢れた顔をしながらズンズン前へ進んでいるというイメージを持っていた。しかしそれは、間違ったイメージだったようだ。私が憧れている彼女たちにも不安で眠れない夜はあり、不透明な未来に恐怖している。ただそこで、うずくまって終わってしまうのではない。弱くて拙い自分を認め、感じている不安や恐怖もすべて受け入れたうえで、足を引きづりながら前へ進んでいく。ネガティブな感情を無いものにしようとしない強さが、彼女たちをカッコいい女性にしているのだろう。
- 悩みはチャンスだと思うようにする。
- 不安や恐怖、悩みをすべて紙に書き出して問題は何なのか、どうして立ち止まっているのかをハッキリさせる。
⑥変化に寛容
全ての物事は永久には続かないというのが世の常。一躍有名になった物でも時が経てば忘れ去られ、新聞記事に大きく載っても新しい情報にすぐに飲み込まれる。そんなふうに、上手くいっていたことが上手くいかなくなった時、カッコいい女性は「どうすれば過去を取り戻せるか」に拘らず「どのように変化するか」を考える。
「変化」することは確かにとても怖い。知らない場所で迷子になったような気分になる。しかし過去にしがみついていては誰もいない真っ暗な場所に取り残されるだけなのだ。そっちの方がもっと怖い。時代や環境の流れに身を任せて自分も変化する(進化すると言えるかもしれない)ことができる人は、どんどんパワーアップして、新たな場所でも輝いていけるだろう。
⑦自分と他人を比べない
誰かの活躍をモチベーションに昇華するのはいいことだ。だけど自分はダメダメだなぁなんて卑屈になってはいけない。あの人はあの人、自分は自分。同じレールの上で競争しているわけではない。カッコいい女性は、みんなから憧れられるような特別な存在だから、輝けているのではない。真っ直ぐ自分の進むべき方向だけを見据えて、自分の人生を楽しんでいるから輝いているのだ。「これが私よ」と愛と自信を持って言える人は、それだけで十分カッコいい女性なのだ。
おわりに
カッコいい女性たちに共通していたのは、「自分の人生を真剣に生きている」ということだ。自分の人生を生きるためには自分に嘘をつかず、信念を曲げずに行動し続けることが大切だ。そして真剣に生きるにはネガティブな感情を受け入れることや過去に囚われないことが必要になる。
自分の人生を真剣に生きていると「自信」や「勇気」が生みだされ、生き方に「強さ」や「美しさ」が宿る。そうして彼女たちは輝きを増していくのだ。
私も彼女たちのように、自分の人生や仕事を真剣に楽しんでいける素敵な人になりたいと思う。
書籍の紹介
最後に、今回の読書録「カッコいい女性に共通する7つのこと」を学ぶきっかけとなった書籍を紹介する。
- 書名:自分で「始めた」女たち
- 著者名:グレース・ボニー
- 訳者:月谷真紀
- 発行所:有限会社 海と月社
この書籍の魅力の一つは写真の多さだ。彼女たちの、自分の信じてきた道を歩き続けてきた自信と自分の好きな事を選び続けた喜びの表情。そして彼女たちらしさが詰まった個性のある職場や仕事道具など。それら眺めていると実際に対面して話を聞いているような心地がして、とてもワクワクしながら読むことができた。
また、自分自身がどうしていきたいのかというビジョンが曖昧で、言葉にできないモヤモヤがある時には「私が考えていたのはこういうことだ!」と気づかせてくれた。活力もくれるし、進むべき道をも照らしてくれる、最高に刺激的な本だった。
「好きなことを仕事にしている人に憧れている」「クリエイティブな仕事をしている女性の頭の中を覗きたい」「堅苦しくないビジネス書が読みたい」という人にもおすすめしたい。