あした死ぬかもよ?
ー後悔しない生き方に必要な3つのことー
プロローグ
2年前、交通事故に遭った。仕事終わりのタクシーの中で、眠っている間に起きた衝突事故だった。例えようのない強い衝撃と息ができなくなるほどの痛みの中で「なんて派手な目覚ましだろう…」と呑気なことを考えていた。不幸中の幸いで、運転手さんも私も骨を折る程度の怪我で済んだのだが、後日、警察の話を聞いて流石の私も呑気ではいられなかった。
「シートベルトをしていなかったら、頭からフロントガラスを突き破って死んでいたと思いますよ」
呆気に取られた。命とはそんなにもあっさりと消えるのかと。そして死んでいたかもしれないという怖さよりも、この命がまるで永遠にあるかのようにお粗末に生きていたことに怖さを感じた。生き物には寿命があり、例外なく平等に死んでしまう。いつかは死ぬ時がくると分かっていた。分かっていたのに、まさか今日や明日、この瞬間にさえその可能性があるとは思っていなかった。行きたい場所も、食べたいものも、着たい服も、たくさんある。大好きな人に大好きだと伝えていないし、親孝行もできていない。今死んだら絶対後悔する。事故に遭って初めて、これからどう生きていくべきなのかを覚悟して考えるようになった。
今回の読書録は「あした死ぬかもよ?-人生最後の日に笑って死ねる27の質問-」から考える「後悔しない生き方に必要な3つのこと」。
本書は27の質問を通して「後悔しない生き方」のヒントを教えてくれる。そしてその中で、人生に後悔を残さないためには、豪華客船で世界一周したりテーマパークを貸し切ったりするような大きな夢を叶えようとするよりも、身近にあるものに意識を向けて思いやることや感謝することを忘れないでいるのが大切なのだと学んだ。日々のシンプルな心がけさえあれば、誰にでも「後悔しない生き方」はできるのだ。そのことについて以下で詳しくまとめておく。あした突然、人生に幕を下ろすことになっても、十分に生き切ったと言えるようになるだろう。
後悔しない生き方に必要な3つのこと
- 自分にとって必要なことを大切にする
- 自分にとって必要のないことを手放す
- 今ある物に感謝する
①自分にとって必要なことを大切にする
「自分にとって必要なこと」とは「これがあるからこそ、ありのままの自分でいられる」というも。自信を持って言えるだろうか。もしかしたら日々の忙しさに埋もれてしまって、忘れてしまっているかもしれない。私はゆっくり時間をかけて思い出してみた。
- 自分の仕事で誰かを喜ばせること
- 大切な人と過ごす時間
- 新しい知識を蓄えること
このように、後悔しない生き方をするためには「自分にとって必要なこと」を自分自身でハッキリ理解しておくことが重要だ。そしてその全てを取りこぼさないように、平等に大切にする。どれかに注力し過ぎるとバランスが取れずに何かが失われて、後悔に繋がってしまう。何かひとつでも欠けてはいけないと思うのは強欲ではない。全部ぜんぶ、自分をつくる大切な結晶だから死守する必要があるのだ。
②自分にとって必要のないことを手放す
嫌だけどやらなくてはいけない。仕事も私生活も人間関係もそんなことばかりだった。それを耐えてこそ大人だと思っていたし、誰からも目くじらを立てられることなく順風満帆に過ごせることが自分にとって最適だと思っていた。しかし積もり積もってくると最適だと信じていたものは苦痛に変わっていく。その苦痛こそが人生の後悔につながってしまうのだ。
- 長時間労働の末に得た高い給料とキャリア
- 周りに溶け込むために買ったトレンドを押さえた服や高い化粧品
- 嫌われたくないから続けていた交友関係
私は上記のものを手放した。頑なに背負い続けてきたものたちは、他人からの視線を気にし続けた結果「必要だと思い込んでいたもの」で、「自分にとって大切なこと」を守っていくのに全く必要のないものだった。
自分にとって必要のないことを手放すと、驚くほど身軽になれる。持ち物も、頭の中も、人間関係もスッキリして風通しが良くなり、手放したものが大きければ「生きやすさ」すらも感じられるだろう。「嫌だけどやらなくてはいけない」という時間を突然消すのは難しいかもしれないが、有限である人生を無駄にしないためになるべく早くお別れした方がいい。
③今ある物に感謝する
今ある物、今いる環境、今一緒にいてくれる人。目の前にあるすべてが特別であることを忘れてはいないだろうか。今日もご飯が食べられて良かった、あの子と楽しくお喋りできて良かった、見たかった映画が見れて良かった…そんな日々のほんのちょっとの幸せを受け取ろうとするか知らんぷりするかで、「何にもない人生だった!」とただ嘆くだけの人と「いつも満たされていて豊かな人生だった!」と幸せを噛み締められる人とに分かれるだろう。全く同じ人生を送っていたとしても、「後悔しない生き方」ができるのは今ある物に感謝できる人だ。
身近なものに意識を向けるのは、簡単なようだがどうしても見過ごしてしまいがちになる。まずは今日一日を大切にそして丁寧に生きることを心がけていくといいだろう。
おわりに
「後悔しない生き方」とは自分にとって大切なものを見失わないように、丁寧に生きていくことだ。未来ばかりに焦点を置かず、今日を懸命に生きることに集中する。そうすれば人生の終点を迎えた時に「満足するまで生き切った」と思えるだろう。
書籍の紹介
最後に、今回の読書録「後悔しない生き方に必要な3つのこと」を学ぶきっかけとなった書籍を紹介する。
- 書名:あした死ぬかもよ?-人生最後の日に笑って死ねる27の質問-
- 著者名:ひすいこたろう
- 発行所:株式会社 ディスカヴァー・トゥエンティワン
「生」に対する尊さと儚さを思い出させてくれるとともに、生きることへの信念…言葉にすると「死に遂げるために生きろ!」というような強いメッセージを伝えてくれる。私はこの本と共に「死」に向き合うことで自分の人生をより深く考えることができた。私の人生を大きく変化させてくれた一冊だ。
「人生を変えたい」「生きることがつまらない」という人にも是非読んでほしい。