夢をかなえるゾウ1
ー成功を目指す前に考えたい3つのことー
プロローグ
SNSや動画投稿サイトが日常の一部になり始めた頃、毎日胸が踊るような気持ちだった。キラキラと輝く人たちがたくさんいる世界はまるで夢のよう。思想やファッションなど、私の中の世界が一気に広がったのを覚えている。尊敬する人をたくさんフォローしては「すごいなぁ」「いいなぁ」とニヤニヤしながら毎日眺めていた。
しかし。たくさんのフォロワーに応援されて、企業や著名人とコラボして、本を出し、メディアに出て…彼らがどんどん遠い存在になり始めると、憧れは次第に嫉妬心に変わっていった。特に自分と同年代の女性の「成功した姿」を目にすると嫌な気持ちがむくむく膨れ上がってゆく。「成功していない自分」が情けなくて仕方なかった。今のままじゃダメだと自分を追い込んだ。そしていつからか「私も成功してみんなに憧れられたい」と望むようになった。
今日の読書録は「夢をかなえるゾウ1」から学ぶ、「成功を目指す前に考えたい3つのこと」。
本書では「僕」と「ガネーシャ」のトンデモ共同生活の中から「夢の叶え方」や「成功する人と成功しない人の違い」を学んだ。成功したいと息巻く「僕」には共感するところが多くあり、ガネーシャが(愛のある)ダメ出しを「僕」にするたびに私の胸にもグサグサと刺さった。そして「成功とは何か」を改めて考える中で、私自身が「間違った成功」を目指していたことに気がついた。夢や憧れというものは実に甘美で、それでいて歪みやすい。私はそのドツボにハマっていたのだ。
「間違った正解」を目指し続けていたら、一生成功を夢見たまま心を渇かせていただろう。再び同じ過ちを繰り返さないようにしたい。そこで「成功を目指す前に考えたいこと」を3つピックアップしてまとめた。叶えたい夢がある人も、今はまだ夢がないという人もこれから先自分がどこへ向かうべきかを考える際にぜひ参考にしてみてほしい。
成功を目指す前に考えたい3つのこと
- 自分にとっての「成功」とは何か
- それは他者基準の「成功」ではないか
- 本当に「成功」しなければいけないのか
①自分にとっての「成功」とは何か
「成功」って何だろうか。年齢や性別、また国によっても「成功」の定義は人それぞれ違うだろう。以前は「みんなに憧れられるような人になる」ことが成功だと思っていた。しかし「憧れられる」というのは他者の目から見て私が幸せそうであれば私は幸せだと言っているのと同じで、私自身が心から幸せを感じるかどうかを完全に放棄してしまっていた。私が過去に目指していた成功は、自分が本当に求める幸せを見失った、間違った成功だったのだ。
「間違った成功」に気がつけないまま努力して夢を叶えても、「なぜかずっと幸せじゃない」という虚しさを抱えることになる。そうならないために、夢を掲げて成功を目指す前には一度、自分にとっての成功がどういう状態を指すのかをハッキリさせた方がいい。
目を覚ました私は「成功」を「誰かを笑顔にすることすることで私も笑顔になること」だと定義した。私が何かを言ったり、行動したことで誰かの笑顔を作り出せたときに心から満たされるような気持ちになるからだ。まとめると、私の「自分にとっての成功」は「誰か笑顔にすること」。そしてそれを実現するために、喜びや幸せを生み出す方法を考えて、行動していく必要がある。
②それは他者基準の「成功」ではないか
「成功している人」と聞けば、煌びやかで華やかで、みんなから憧れられるような何かを持っている人をイメージするかもしれない。先にも述べたように実際に私がそうだった。尊敬する気持ちと悔しい気持ち、色々な感情がごちゃ混ぜになると、「こう見られたい」「こう思われたい」という満たされない自尊心を埋めるための「他者基準の成功」を目指してしまいそうになる。それが絶対ダメなことだとも言いきれないし、行動を起こすモチベーションになるのならいいのかもしれない。
しかし本当に大切にすべきものや今ある幸せが離れていく危険性があることは把握しておいた方がいいだろう。例えばどんな自分でも愛してくれた人や、自分が守っていきたい時間、自分を支えてきた信念などだ。それらを失って得たものを「幸せ」といえるだろうか。そして、埋めようと必死になっていた自尊心はちゃんと満たされるのだろうか。
他者基準の幸せにはそういった足元の不安定さがある。そのことを覚悟したうえで、自分がどういう成功を目指すのかを決断するようにしたい。周りの人間が何と言おうが、誰にどう思われようが、これが自分にとっての幸せだといえるものを選びたい。
- すごいと思われたいから、有名な会社に勤めたい
- お金持ちだと思われたいから、高級車に乗りたい
- 羨む目で見られたいから、ルックスのいい相手と結婚したい
③本当に「成功」しなければいけないのか
「成功したいか?」と聞かれれば多くの人が「できるものなら!」と答えると思う。ありがたいことに、世界中の成功者たちが成功法則などを本や動画で教授してくれている。どの国でもいつの時代も、みんな成功に手を伸ばす。私もみんなに混じって手を伸ばしていた。なぜなら、そうしなければいけないような気がするから。彼らのように成功していない自分はダメな人間で、今のままでは不幸せだと、いつも何かが不足した気分を背負ったまま光の見えない道を彷徨っていた。「成功」がまるで、絶対的な光だと信じて疑わなかったのだ。
しかし「成功」事態に、救いがあると勘違いしてはいけない。成功が人を幸せにするのではなく、幸せだから成功できるのだ。だから成功しているから幸せで、成功していないから不幸せだという基準も間違っている。不幸せの処方箋が成功だと思っていたり、成功が正義だと思っていたり、「成功」に縛られているときには「本当に成功する必要があるのか」を考えたい。そして今自分が、すでに十分満たされていることを知りたい。「いま目の前にある幸せ」に気づくことができれば、不足感を埋めるために必死に「成功」を追い求めていた苦しみから解放されるし、本当に自分が望んでいる幸せを守り続けることができるだろう。
- 毎日ご飯を食べることができる
- 働く場所がある
- 布団で眠れる
おわりに
自分にとっての成功の定義を考えたことで、私が日常の些細なことで幸せを感じられることと、自分基準の成功はもうすでに手に入れていたことに気がつけた。足りないものばかりに気を取られて、今のままの自分では不幸だから「成功しなければいけない」と自分を呪うように縛り付けることももう無くなりそうだ。人によって成功や幸せの基準は違うから、みんな個々に目指す場所があっていいと思う。その中で他者の基準に左右されない幸せを目指していきたい。
書籍について
最後に、今回の読書録「成功を目指す前に考えたい3つのこと」を学ぶきっかけとなった書籍を紹介する。
- 書名:夢をかなえるゾウ1
- 著者名:水野敬也
- 発行所:株式会社 文響社
成功させてくれるならゾウでもキリンでも何でもいいから、とにかく成功の秘訣を教えてほしいと思いながら血眼になってページをめくった。しかし読み終わってみると、不思議な安心感と満足感に満たされていた。成功に向けて肩肘を張って鼻息が荒くなる激薬本ではなく、道に迷ってうずくまっている時に背中をそっと押してくれるような優しさや愛情を感じられる本だ。
「成功する人と成功しない人の違いが知りたい」「やりたいことが見つからない」という人にもオススメしたい書籍です。